この数日で香港の街中でのマスクの着用率が急激に上がった様に感じます。顔を隠す目的ではなく、医療用のマスクです。その理由がこちらです。
SARSの再来?なんて一部で言われていますが、報道によるとSARSではないとの事。中国との人の出入りが多く、なおかつSARSを経験した香港人が敏感に反応するのも当然かと思います。一難去ってもいないのにまた一難かよって感じです。
SARSについてはこちら。。。
そのSARSの頃、私はまさに渦中の広東省の深圳に住んでいました。中国での報道は覚えていませんがおそらく限定的だったのかと思います。しかし2003年の1月末くらいには深圳の職場では周知の事実でした。
私は深圳に引っ越しをしたばかりだったのですが、スタッフが「大切な話があります。。。」と神妙な顔で。会社辞めたいとかいう話かな?と思ったら、
「今、原因不明の肺炎の様な病気が流行しています。KyuTAさんは中国に来たばかりで環境にも慣れていないので、特に注意して下さい。外食は控えてください」と。
家では香港のテレビ番組が視聴できたので連日ニュースをチェックしていると報道がどんどん増えていき、さすがに不安を覚えました。「深圳怖い・・・」と言って会社を辞めて地元(湖南省)に帰ってしまった子もいました。
香港のニュースでは番組冒頭で「今日の新たに認定された患者は何人です。」と発表し、その患者さんの容体、年齢、既往歴などを伝えていました。あるマンションでは特定の棟に患者が多く発生した為「本日の〇時をもって〇棟を隔離します」と発表され、その時間の直前に慌てて帰宅する人の姿を中継していたのが印象に残っています。
そんな不安な状況下での深圳での毎日はと言うとお酢が効くという情報(デマ?)を元に会社手配で職場に白い防護服を着た業者がスプレーでそこら中にお酢を撒きに来たり、板藍根(バンランゲン)という漢方の顆粒状の風邪薬が効くという噂で会社の子が買ってきてくれたり。。。SARSどうこうの前に、なんか中国って不思議だな・・・という印象を持ちつつ、意外と冷静に生活をしていました。
日本の友人もメールをくれたり、マスクを郵送してくれたり。そしてある友人が医師の言葉を調べてくれて「心配事があると免疫が落ちるらしいので、あまり考えすぎない方が良いよ」とも教えてくれました。
そうこうしているうちに流行の初期に感染してしまった香港の医療スタッフが完治し退院をしました。その記者会見、数人の元SARS患者の医師、看護師が手をつないで並んで撮影されている光景を見て、涙が出ました。「困難を克服した香港」というイメージと共に香港に対する良い印象が構築されたのは実はこの時期だったのだと思います。
しかし香港に来てからは香港人とSARSの話はしていません。300人近い人が香港でも亡くなっています。部外者である私が根ほり葉ほり聞くのも失礼だなと。
今回の謎の肺炎、不安は感じますが、免疫力を下げないように心配し過ぎずに粛々といつも通りの健康管理に努めようと思います。そしてSARSの時と同様に香港は必ず困難を克服できると信じています。いずれにしてもこれ以上拡大せずに早急に収束する事を願います。