香港を「もっと」好きになる活動記録

香港が好き!!と自信を持って言える様に、香港の良い所に目を向けて行こうと思います。

コロナウィルス終息後の世界はどの様になるのか?【SARSとの比較】

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コロナウィルスの感染が世界に拡大していますね。。。ウィルスも怖いですが世界景気への深刻な影響が懸念されます。実際株価も暴落していますし。。。人と物の動きが多い現在、ウィルスにしても景気にしても特定の国や地域だけに封じ込めるというのがいかに難しいかという事かと思います。

 

そうは言ってもウィルスの感染拡大はいずれ終息する筈です。その時、世界はどの様になっているのか?を考えてみるべく、SARSの時とSARS後の香港経済を簡単に調べてみました。

※ちなみに私は専門家でもなんでもありませんので・・・

 

SARSの流行時の香港経済への影響】

それまでは順調だった香港経済ですが2003年2月からSARSの域内感染が拡がり、3月15日にWHOから渡航自粛勧告が出されています。今回と同様に観光客は激減、市民も外出を控えるなどした為、小売り、飲食、ホテルに甚大な影響が出ました。

 

GDPは下記の様に推移しています。2003年2Qはマイナス成長なのですが、それ以降、急速に回復をしています。

 

2003年1-3月  +4.5%
2003年4-6月  -0.5%
2003年7-9月  +4.0%
2003年10-12月 +5.0%
 

 

なおGDPがマイナス成長となった時期でも例外的に伸ばした業種があります。ドラッグストア (マスク、消毒液、石鹸、ビタミン剤など)、スーパー(生鮮食品、家庭用品、清掃関連)。この辺りは想像つきやすいのですが、他にもレンタルビデオ、通信会社(長距離電話)、更にはブロードバンドやネットバンキングの申し込み、そしてオンラインショッピング(当時はe-コマースって言われていましたね)も増えたそうです。

 

詳細は日本政策投資銀行の「SARSとアジア経済」というレポートに書かれていました。

https://www.dbj.jp/reportshift/area/singapore/pdf_all/ST6j.pdf

 

SARS終息後の香港景気回復の要因】

 

①海外の経済が好調だった為

WHOは2003年7月5日にSARSの封じ込めを発表しています。そしてSARSは感染拡大が世界中ではなく限定的だったことも幸いしています。当時はアメリカなどの景気が好調であった為、国際的な貿易センターである香港はメリットを享受する事が出来ました。
 

②中国からの観光客の増加

それまでは団体旅行のみが認められていたのですが、2003年7月以降、一部地域の住民の個人旅行が解禁されました。これにより中国からの観光客は前年の2割以上増え、小売り業や飲食、ホテル関連の底上げに貢献しています。
 
結果として2003年通年では域外からの観光客の5割が中国本土からになりました。ちなみに下記の表で計算すると中国人が占める割合は更に進み2019年1月は82%、2020年1月は79%です。

 

SARS後の香港経済を支える要因となった中国からの観光客ですが、中国人に依存しすぎる構造になってしまった事や物価などが上がり香港市民の不満にも繋がってしまっています。このきっかけが2003年だったのだなと複雑な気持ちです。

 

【コロナ終息後の世界は?】

コロナウィルスによる世界経済の影響はSARSとは比にならないと報道されています。しかしそれに対応すべく、各国政府は景気対策を重視しているとは思います。正直予想なんでてきませんがSARSから香港が回復したきっかけとなって2つの要因について考えてみます。

 

①海外経済による影響

SARSと決定的に違うのが今回の感染拡大エリアが世界に広がっている点です。SARSからの景気回復に海外の好景気が影響した様な事は香港であっても日本であってもすぐには期待は出来ないと思います。

 

②中国人旅行者の動向

一方でSARSからの景気回復のきっかけとなった中国人旅行者の増加。これに関しては今回も可能性があると思います。中国人にとってはお盆とクリスマスと正月が一緒に来たくらいの一大イベントである旧正月。これを自宅や自分の都市に閉じ込められた市民は旅行や爆買いに走る可能性はあります。中国国内の景気の影響もあると思いますが、中国の事なので多少の無茶な事をしてでも国の威信にかけて景気は維持するのでは?

 

となるとそれがどこに向かうのか?中国国内で消費されて終わるのか?日本は他の国に負けないようにしっかりと受け皿になれるように準備する必要があると思います。インバウンドに期待するのは必然ですが、香港の様に中国に依存し過ぎない様な施策は必要だとは思います。

 

一方で香港は・・・おそらくコロナが終息したら、考えたくないですがデモが再開するのでは・・・と思っています。根本的な市民の不満は解消されていませんし、ましてや9月には選挙が予定されているので。という事からこの点に関しては香港、あまり期待できないかと思います。

 

③世界の工場としての中国の位置づけ

これは私の仕事にも関わるのですが、この数年、中国の生産拠点としての競争力が落ちています。原材料費や人件費が上がる事で輸出製品の価格が上がってしまっています。そして今回のコロナウィルスの感染により、いかに一国に集中する事が危険なことかを実感したと思います。これにより中国からの生産が他国に移管される動きが進むと考えられます。そうなると香港は中国の窓口的存在として発展してきていますので、良い影響はないです。

 

【結論】

見通しが不透明ではありますが、唯一、前向きな見方としては「コロナウィルス」という名目があるので、景気回復の対策を各国の政府は打ちやすいのではないでしょうか?例えば日本、何もない時に景気回復の為の対策を打とうとするとアベノミクスは失敗だったのか?」とか「消費税を上げたのが駄目なのでは?」と批判されます。それが今なら「先手先手の景気対策です」とか言えますし。。

 

大統領選挙を控えたアメリカも同様かと思います。いずれにしてもウィルスも不景気にも必ずどこかの時点で良い方向に向かいます。その時まで、何とかして生き延びる体力が必要ってことですね!!